詳しく解説 中国語文法 受身構文「被.叫.让」の使い方
今回は中国語の受身構文についてお伝えします。
Contents
語順について
受け手+被/叫/让/給+行い手+動詞+補語
補語に部分には、「了」「了+目的語」「方向補語」「様態補語」「結果補語」がきます。受身文の動詞は単独でなく結果補語を使うようにしましょう。中国語の場合、結果がある場合は必ず「動詞+結果補語」を使います。受身文ではほとんどが「された」結果があるので結果補語を使う必要があります。
もちろん被害の意味の動詞は結果補語ではなく「了」だけでも大丈夫です。例えば「被偷了(盗まれた)被打了(ぶたれた)」などです。
彼の名前は呼ばれていない
×他的名字没被叫
○他的名字没被叫到(結果補語)
昨日買ってきた苺が全部食べられた
×昨天买的草莓全部被吃了
○昨天买的草莓全部被吃光了(結果補語)
叫と让は被に比べてより口語的で、話し言葉で多く用いられています。給は方言の色が濃く、使用される割合が低くなっています。
物の被害について
物が被害を受けた場合は被害者が主語になるのではなく、「被害の物」が主語になります。
私は財布を取られた
×我被偷了钱包
○我的钱包被偷了
彼は頭を叩かれた
×他被打了头
○他的头被打了
受身構文の性質
中国語の受身構文には2通りあります。
①問題は解決された
问题解决了
②自転車が盗まれた
自行车被偷了
①も②にも日本語的には受身になりますが、①には受身の「被」が使われていません。もう一つ例をあげます。
私の心は幸せに満たされた
○我的心充满了幸福
×我的心被充满了幸福
こちらも日本語的には受身になっていますが「被」を使うことができません。中国語において、受身構文が使われるのはほとんど不愉快な場合です。ただし「被」に関しては、書面語においては良いことにも使えます。「叫・让」は不愉快な時しか使えませんので注意してください。(現代中国語において不愉快なことに限定されず受身文なら使用する傾向はあります)
そして日本語では受身になっているが、中国語では受身構文を使わない場合も多くあることを理解しておいてください。
①私たちが作った餃子が全部売れた
②多くの意見が寄せられた
上記の2つの例文は日本語では「された」という受身表現になっていますが不愉快なことではない文なので被は使用せずに中国語にします。
①○我们做的饺子都卖光了
×我们做的饺子都被卖了
②○观众季来了很多意见信
×很多意见信被寄来了
受身にできない文
日本語では受身の「〜られる」になっていても中国語では受身に訳せない文があります
〜と言われる
私は中国人に似ているとよく言われる
×我常被说像中国人
○大家都说我像中国人
「〜と言われる」は不愉快なことではないので受身は使えません。「被说」という言葉は中国語には存在しますが、必ず後ろに「不愉快なこと」があります。
したがって「不愉快ではなく一般的なこと」の「言われる」は「被说」は使わないようにしましょう
〜と考えられている
この方法はあれより有効だと考えられている
这是大家认为的重要原因
「考えられる」は中国語では「被想」ではなく、「大家认为,大家觉得」で表現します。
「思われる」も「被想」ではなく、「被认为」で表現します。もちろん受身を使わずに「大家都认为,一般认为,人们都认为」にした方が中国語らしくなります
中国語の発音は難しいと思われている
× 汉语的发音被想很难
△汉语的发音被认为很难
○ 一般都认为汉语的发音很难
〜使われる
この言葉はよく使われる
×这个词很常被用
○这个词很常用
日本語の「使われる」には不愉快のニュアンスがないので被は使われません。さらに不愉快であっても悪い結果をもたらさなければ使われません。「私の携帯が壊れた」だけではだめで、「私の携帯を使って壊された」なら被が使えます。例えば、「被用坏,被用完」など
私の携帯は彼に使って壊された
我的手机被他用坏了
限られる
自由に使える時間は限られている
能自由使用的时间有限
「限られている、限られる」は受身ですが、中国語に訳す場合は「有限」を使います
〜が開かれる、行われる
委員会が明日開かれる
明天开委员会
「開かれる、行われる」は中国語では受身が使えず、そのまま「开,举行」を使います
〜によって書かれる
「〜によって書かれる、描かれる、作られる、建てられる」なども受身が使えませんのでそのまま動詞を使ってください
この建物はいつ建てられたのですか
这个建筑物是什么时候建的?
その他
その他「読まれる、話される、教えられる」なども受身は使えません。「不愉快なこと、称賛されること」ではないので被は使えません。日本語につられて使わないようにしましょう
練習
私は昔から考えすぎだと言われる
从以前到现在,大家都说我想得太多
彼は「どうすべきか」と聞かれた
有人问他,那应该怎么办?
私は上海の街中で、中国人に声をかけられた
我在上海街上,有个中国人跟我搭话
昨日彼女に招待された時は嬉しかった
昨天她招待我的时候,我感到很高兴
昨日家に帰るとすぐ母に部屋の掃除をさせられた
昨天回家的时候,我被妈妈叫去打扫房间
どんな問題を出されても彼は落ち着いて答えられる
不论谁提出什么问题,他都能镇定地回答
日本語の「問題を出されても」は受身なので直訳すると「被提出什么问题」となりますがm中国語の表現としては落ち着きません。 提出,问,提问のような動詞は被害のニュアンスがないので受身文ではあまり使いません。普通は「有人提出那个问题,有人问他那个问题,有人向他提问」と言います。
今、中国は世界各国に注目されている
现在中国受世界各国的注目
「注目される」は良いことなので被が使えません。「受」を使います。「受到」も「受」と同じ意味で使われ、受身として使われます。しかも良いことでも悪いことでも使えます。
上記の練習文を見ると、日本語では受身の文となっているにもかかわらず中国語では受身が使えないため、主語が日本語と中国語で逆になっていることに気がつきます。
日本語から考えると被を使ってしまうので中国語で訳す場合、被が使えない時は何が主語に来るのかをしっかり考える必要があります。
受身構文の「行い手の省略」
この受身構文は「被」の後には「行い手」をおきますが相手がわからない時や、不定の時、あるいは言わなくてもわかる時、また言いたくない時には省略して、「被+V」になることがあります。
私の自転車が盗まれた
我的自行车被偷了
家が焼かれた
房子被烧了
ただし「叫」「让」の場合は「行い手」を省略できません。わからない場合でも「谁」を使う必要があります。
彼の財布は盗まれた
○他的钱包被偷了
×他的钱包叫偷了
○他的钱包叫人偷了
使える動詞と使えない動詞
受身構文も把構文と同様に使えない動詞があります。ただ把構文ほど制限は多くなく、参考書によって見解がまちまちではありますが明記しておきます。
受身構文に使える動詞は目的語を従える他動詞のみです。
その本は昨日、借りて行かれた
这本书昨天被借走了
→书が目的語で、借が他動詞です。
不愉快であっても、動詞が自動詞の場合は「被」は使えません。次の3つの場合は受身にできませんので確認しましょう
①具体的な動作を表さない静態動詞
有,是,像,在,姓,属于,等于
②知覚、感覚及び心理活動を表す動詞
知道,认识,感觉,觉得,相信,明白,希望,生气,讨厌,愿意
③方向を表す方向動詞
来,去,进,出,坐,回,到,站,躺,跪,趴,过去,起来
④自動詞
→自動詞は他動詞にかえると使える
坏了→弄坏了
掉了→弄掉了
碎了→打碎了
使えない動詞を受身文にしたい場合
生气は受身にできない動詞ですが「怒られた」を中国語で訳す場合どうすればいいのでしょうか。
先生に怒られた
×我被老师生气了
○我被老师批评了
このように言葉を変えて表現します。その他の例文も見てみましょう
先生に喜ばれた
×我被老师高兴
○我让老师高兴了
高兴も使えないのでその場合は使役文で表現します
子供に泣かれた
×被孩子哭了
○孩子哭得我受不了
様態補語にして表現しています
否定詞・副詞などの位置
不定詞「不・没・不会」副詞「又・也・刚・都」などは「被」の前に置きます。能願動詞も同じ位置になります。
彼は解雇されたばかりです
他刚被开除了
私は今まで先生に叱られたことがない
我从来没被老师批评过
把構文と受身構文について
把構文とは、その事物を「どうしようとするのか」「どうしようとしたのか」を表すものでした。
受身構文は事物や人が「どうされるのか」「どうされたか」を表します。
つまり、処置を加える(能動文)と加えられる(受能文)のと、表裏の関係にあります。
このように何を強調したいかによって使い分ける必要があります。
あの本は子供に破かれた
那本故事书被小孩儿撕破了
子供はあの本を破いた
小孩儿把那本书撕破了
以上となります。
他の文法もこちらに載せていますのでご確認ください。
ではでは!!
コメントを残す