詳しく解説 初級中国語基礎文法 方向補語(単純型と複合方向補語)

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詳しく簡単解説 初級中国語基礎文法 方向補語(単純型と複合方向補語)

方向補語とは動作の方向を表す補語のことです。
例えば「歩いてくる」という日本語を中国語で表す場合、「走来」と言います。「歩いてくる」という日本語は、「歩いてこっちにやってくる」という意味なので、歩く「走」と「こっちにやって来る」「来」が結びつき、「走来」という中国語になります。
この「来」が方向補語となります。

方向補語には3種類ありますのでご説明していきます
①単純型1類(2コ)
V+来・去

②単純型2類(8コ)
V+上・下・进・出・回・过・起・开

③複合方補語型
V+8コ+来とV+8コ+去

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①単純型1類(2コ)について

V+来・去

来や去は色々な動詞を結びつきます。

(出てくる)・上(上がってくる)
(出て行く)・上(上がっていく)

彼が入ってきた
他进

②単純型2類(8コ)について

V+上・下・进・出・回・过・起・开

方向補語は、「来」と「去」以外に
上(のぼる) 
下(くだる)
进(はいる)
出(でる)
回(もどる)
过(すぎる)
起(おきる)
开(はなれる.ひろがる)
これら8コの動詞も方向補語として使用出てきます。

彼はスルスルと木に登った
他很快地爬了树

③複合方向補語について

V+8コ
V+8コ
の2つの組み合わせがあります。

(走って上がって来る)
(歩いて上がって行く)
(追いかけて下りて来る)
(走って出てくる)
(歩いて出て行く)
(こちらに持って来る)
(あちらへ持って行く)
(歩いて帰って来る)
(歌い始める)
(走りながら入って来る)
(歩きながら入って行く)

目的語の位置について

場所目的語の場合

(場所目的語=宿舎や学校など持ち運びができないもの)

①単純型1類  
 V+場所目的語+来・去
②単純型2類
    V+8コ+場所目的語
③複合型  
    V+8コ+場所目的語+来・去
*介詞
   介詞(往/向/朝)+場所目的語+来・去

目的語が場所の場合は目的語を必ず来・去の前に置く

非場所目的語の場合

(非場所目的語=机や书など持ち運びができるもの)

動作がまだ完了していない文(これからのこと)
=非存現文

①単純型1類  
    V+非場所目的語+来・去
②単純型2類
    V+8コ+非場所目的語
③複合型  
   V+8コ+非場所目的語+来・去
 
動作が既に完了している文(過去のこと)
=存現文
①単純型1類  

    V+来・去+非場所目的語
②単純型2類  
 V+8コ+非場所目的語
③複合型  
 V+8コ+非場所目的語+来・去
 V+8コ+来・去+非場所目的語

基本的には来・去の後に目的語を置くが、③複合型の場合は来・去の前にも置くことが出来る

あと注意が必要なのが、存現文で非場所目的語の場合、目的語に何らかの数量詞が必要になります

把構文+方向補語

目的語が聞き手と話し手に了解されている場合は、把構文を使って前に出すことができます。

ノートを出して
拿出本子

ノートを出してください
请你本子拿出来

目的語をどこに置くか考える必要がありませんので、目的語が既知の場合は、方向補語のついた動詞と目的語の関係では把構文を使うのが便利です。

例文

<場所目的語+単純2型>
彼らは公園へ入った
他们走进了公园

<場所目的語+単純2型>
彼らは喜んでキャンバスから歩いて出てきた
他们高高兴兴的走出校园

<場所目的語>
先生が教室に入ってきた
老师教室

<介詞>
彼らは川辺の方に歩いて行った
他们河边走去

<場所目的語>
彼女は家に帰っていく

<場所目的語>
彼らは山を歩いて登って来た
他们走上

<場所目的語>
先生は歩いて教室に入って来た
老师走进教室

<非場所目的語+存現文+単純2型>
彼女は財布を拾った
捡起一个钱包

<非場所目的語+存現文+単純1型>
前から人が歩いて来ている
前边走来一个

<非場所目的語+非存現文>
あなたはお金を持ってきましたか
了吗?

<非場所目的語+存現文>
部屋から人が歩いて来た
屋里走出来一个
=屋里走出一个

方向補語が使われる意味

なぜ動詞の後に補語が必要になるのでしょうか。
ここでは動作の方向とは関係ない場合になぜ方向補語が使われるのかご説明します。

中国語の「背」を例に確認してみましょう。

例えば日本語の「暗唱する」という動詞は、覚える段階や過程を含まず、覚えた後、何も見ずに覚えたことを諳んじる段階のみを指しています。

中国語において「暗唱する」にあたる漢字は「背诵」になります。
中国語の場合、動詞によっては動作が発生するまでの段階や過程、そして発生した時の動作が含まれている場合があります。
「背」にも、覚えた段階と覚えた結果を諳んじる段階の両方の意味が含まれています。
そのため、「覚える」と「暗唱する」とでは「背」の後ろに補語を置き、どちらの意味なのかを表現する必要があります。

教科書本文を覚える
把课文背下来

教科書本文を暗唱する
把课文背出来

このように補語を置くことで意味の違いを表現することが可能です。
なぜこんなところに方向補語を付けるのか疑問に感じた場合は、上記の内容も確認し考えてみてください。

以上となります。
ではでは!!

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3 件のコメント

  • 複合方向補語の目的語(非場所目的語の場合)の位置で、未然の時に関する質問です。
    色んなサイトや本を見てると①はどれにも載ってますが、②と③はどこにも載ってなくて本当に合ってるか不安になります。
    ②と③も正しいことを、どこかの本に載ってたりしましたか?

    ①V+8コ+非場所目的語+来・去
    ②V+非場所目的語+8コ+来・去
    ③V+8コ+来・去+非場所目的語

  • ご指摘ありがとうございます。
    大変申し訳ございません。
    参考にした教材は
    御用から学ぶ中国語P314~316
    御用から学ぶ中国語(続編1)P33~39
    ですが間違った書き方をしてしまっていました。
    ③の形はすでに行った動作を表す時だけ(存現文)にしか使えません
    ②は使う場面がありますが、詳しくは御用から学ぶ中国語(続編1)P35~36に明記されています。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    大学卒業後、社会人として約11年勤めてきたが30代半ばにして中国への留学を決意。30代からの中国語学習の過程やその時初めたブログ運営についてわかりやすくご紹介していきたいと思います!!